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アドラー心理学『嫌われる勇気』を読んで

哲人と青年の対話形式で行われる、アドラー心理学をわかりやすく説明した『嫌われる勇気』が200万部の出版を突破しました。国民総アドラーの時代も近いのかもしれません。

私もこの本を読み衝撃を受けた1人です。特に、「課題の分離」という考え方が刺激的でした。夢にも出てきたくらいです。夢の中で日常の色々な出来事の分離を行っていました、、。

課題の分離を自分なりの解釈で説明すると自分に出来ることだけに集中しようということです。本文では馬を水辺に連れていくことは出来ても水を飲ませることまでは出来ない、という印象的な表現で書かれています。

英語の慣用表現であるMind your businessに通じるものがあります。

人を変えるのは無理だから自分を変える。どこまでが自分に出来ることなのかを考え、その先は相手次第だ。簡潔でいて、奥が深い考え方です。

しかし、哲人は理解するよりも実践して身につけることの方が遥かに難しいと作中で話しています。今まで生きてきた年月の半分掛かるとまで言っています。

実際、「課題の分離」の考え方もどこまでが自分に属してどこから相手の領域か、判断がとても難しい部分がああるんですよね。例えば、家事の分担なども分けようとすると家族全員に等しく属していて線引きが出来ないことがわかります。(作中では家事を手伝ってくれなくても親が笑顔でひきうけていれば子供たちが手伝うようになると書かれていますが。この部分は非常に疑わしいと感じます)

日常の出来事が全てアドラー心理学修行の場に変わってしまう、劇薬作用を持った哲学書。売れに売れているということは現代は劇薬なしでは乗り切っていけないのでしょうか。

物事の見方を刷新したい方は是非に。デファクトスタンダード的に現代人必携の1冊になっています。

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え