どこかの図書館

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猫好きに捧ぐ ディー・レディー『あたしの一生』江國香織訳

あなたは猫派でしょうか?

私は猫派です。昨今の猫ブームは留まるところを知りませんね。さて、今回紹介するのは、ある猫の一生を描いた作品『わたしの一生』という作品です。

 

猫を題材にした作品は沢山ありますが、この作品では猫の視点で話が進んでいきます。しかし、猫の視点と言っても夏目漱石のあの有名な作品のように社会の批評といった高次の視点ではありません。等身大の猫1匹分の視線で猫の一生が描かれています。

 

この作品の主人公の猫は猫なのです。従って、猫的観点から猫的理解をして猫的思考を進めていき猫的行動を取ります。猫は人間を支配しているつもりである、とよく言われます。例に漏れずこの猫ももちろん飼い主を支配しています。

 

飼い主に自分の動作の意味合いを教えこんだりするシーンは愛くるしさに満ちています。猫が中心で人間には猫を中心に置いてもらう態度で過ごしているのです。

このように猫という存在を主人公猫の意識や態度の記述で上手く表されていると思います。

 

また、猫の動きの記述はとてもリアルに描かれています。こういった行動とるよなあとか、あぁこの仕草よくするなあとか、猫飼いにとってのあるあるも満ちています。

もし今猫ちゃんを飼っているひとならこの作品を読んでいる最中に何回も猫を撫でたくなること間違いなしです。

 

猫好きの皆さんにおすすめします。猫1匹分の愛をしかと感じられます。